1スイッチ教材・視線入力とは
スイッチ教材とは、大きなボタン(スイッチ)を押すという、ひとつの単純な操作でコンピューターやおもちゃを動かせるようにした教材です。手指の細かい動きが難しい子どもでも、自分の意思で機器を操作できます。
視線入力は、目の動きをカメラで読み取り、画面を見つめるだけで操作できる技術です。視線入力デバイス(Tobii等)とPCを組み合わせて使います。発声や手の動きでの意思表示が難しい子どもにとって、視線は大切な「表現の手段」になります。
- Tobii Experience(Tobii社製 視線入力ソフトウェア)
- 見るマウス(視線でマウスカーソルを操作するソフトウェア)
2なぜ「自分で操作する」体験が大切なのか
重度重複障害や肢体不自由のある子どもは、「自分が何かをすると、世界が反応する」という因果関係を体験する機会が少なくなりがちです。スイッチや視線で画面が光ったり音が鳴ったりする経験は、「自分の行動には意味がある」という気づきにつながります。
この気づきは、やがて「もっとやってみたい」という意欲、「これを選びたい」という意思表示、そして他者とのコミュニケーションへと発展していきます。ICT教材は、その最初の一歩を支える道具です。
3無理なく始める4つのステップ
因果関係に気づく
まずは「押したら反応する」というシンプルな体験から。光ったボタンを押す、タップすると音が鳴る、といった活動で「自分の操作が結果につながる」ことを実感します。
注意を向ける・目で追う
動くものを目で追う「追視」、ねらった場所を見る「注視」の練習へ。視線入力やマッチングのアプリで、見る力・選ぶ力を育てます。
選ぶ・伝える
「はい/いいえ」「もっと」など、選択肢から自分の気持ちを選んで伝える段階。コミュニケーションボードで意思表示の手段を広げます。
表現する・楽しむ
絵を描く、音楽を奏でるなど、創作・表現の活動へ。自分の操作で作品が生まれる喜びが、さらなる意欲を引き出します。
4視線入力で使えるアプリ
視線入力デバイス(Tobii等)に対応した、貴重な無料アプリです。視線だけで操作でき、手の動きが難しい子どもの表現とコミュニケーションを支えます。
※視線入力で使うには、お使いの端末に Tobii Experience と 見るマウス の両方をインストールしておく必要があります(上のセクション1を参照)。
表情や発声での意思表示が難しい子どもが、スイッチ・視線・タップで「はい」「いいえ」「もっと」などの気持ちを伝えるためのAACアプリ。コミュニケーションの第一歩に。
詳しく見る →ブラウザ上で自由に絵を描けるお絵かきアプリ。視線入力デバイス・タッチ・タッチペンなど多様な入力に対応し、運動機能に制限があっても創作・表現を楽しめます。
詳しく見る →カップをシャッフルし、人形がどこに入っているかを当てるゲーム。カップの動きを目で追う「追視」の力を、視線入力やスイッチで楽しく育てます。
詳しく見る →子どもが視線・スイッチで「きょうのきもち」を選び、先生が体温・脈拍・服薬・発作などをまとめて記録できる支援ツール。記録はCSVで書き出して引き継ぎや支援計画に活用できます。気持ちの選択肢には写真・イラストも使用可能です。
詳しく見る →5スイッチで使えるアプリ
スイッチスキャンに対応した無料アプリを、目的別にまとめました。因果関係の学習から、教科の学習、生活スキルまで幅広く使えます。
画面のボタンが光ったタイミングで、スイッチやタップで反応する練習アプリ。「自分の操作が結果につながる」という因果関係の理解を育てる、最初の一歩に最適です。
詳しく見る →タップやスイッチ操作で音が鳴る音楽体験アプリ。運動機能に制限があっても音楽あそびに参加でき、「自分が音を出した」という達成感を味わえます。
詳しく見る →同じ絵や写真のペアを見つけるカードめくりゲーム。注意・集中・記憶の力を育てます。オリジナルの写真でカードを作れるので、身近なものから取り組めます。
詳しく見る →グー・チョキ・パーの勝ち負け関係を段階的に学べるアプリ。ルール理解からクイズ、対戦まで、視覚的にわかりやすく取り組めます。
詳しく見る →さいころをふって順番を守りながらゴールを目指すすごろく。1〜10人でプレイでき、CPU対戦も搭載。順番を待つ、数を数える力を楽しく育てます。
詳しく見る →ひらがなの読み・筆順・なぞり書き・クイズを楽しく練習。スイッチスキャンに対応し、行ごとのカラーボタンで視覚的にわかりやすく学べます。
詳しく見る →一日の予定を絵カード・写真・絵文字で視覚的に作成・確認できるアプリ。見通しを持って行動する力、自己管理の力を育てます。
詳しく見る →6導入のときに気をつけたいこと
その子の「できる入力」から始める
スイッチの押し方、視線の合わせ方は一人ひとり違います。まずは確実にできる操作を見つけ、成功体験を積み重ねることが大切です。
スキャン速度や設定を調整する
多くのアプリには、スキャン速度やゆっくりモードなどの設定があります。その子のペースに合わせて調整してください。
「できた」を一緒に喜ぶ
操作が成功したとき、結果を一緒に喜び、意味づけをする大人の存在が、子どもの意欲を大きく育てます。ICTはあくまで、人と人をつなぐ道具です。